Code;Witch 18話

18



ヨシアキ、アリ―、アベルトが研究所に到着したときは、研究所内は騒然としていた。どうすればいいかわからず、慌てるもの。泣いているもの。

いつもならここの責任者であるアリ―が周りに的確な指示をだし、混乱鎮圧にあたるのだが、いまそれどころではなかった。

すぐに保管庫に向かい、シークレットコードを確認しないと行けない。

アベルトは言っていた。ただの石になってしまったと。どういうことだ。すり替えら得たのか。壊したのか。

製作者であるフレンダが他者に技術を盗まれないように仕掛けを作り、それが何かしらの形で発動してしまったのなら、それは仕方のないこと。魔女ではよくある話だ。

(無効化されてそうだと思ったけど……)

研究所に来てこの可能性は低くなった。

保管庫に向かう途中、他の研究室の窓を横目でみると、他の研究員すべての研究室がひどく荒らされているのが見える。

「そんな……10年かけて書き上げた魔術論文が……」

「ああああ! 古代魔導書が……」

「だれが……いったいだれがやったんだ!」

そしてその中から悲痛の叫びが聞こえてくる。

あの様子だ。自分の研究室もひどく荒らされていることだろう。

 

保管庫の目の前に到着する。

「アベルト! 鍵!」

「は、はい!」

アベルトはすぐさま保管庫の鍵を開ける。

カチャッと音と同時に、アリ―は重い扉を力いっぱい押す。

義明も一緒に押す。

ゴゴゴゴゴゴゴゴと音を立てて扉は開かれる。

「そんな……」

「ひでぇ……いったい誰が……」

保管庫はひどく荒らされていた。

床一面に保管されていた貴重な魔導書や魔道具が散見しており、足の踏み場もない。

アリ―は奥歯を噛みしめる。誰がどうやってここに侵入した。あらされているが、何か盗まれているようには見えなかった。この保管庫には売れば一生遊んで暮らせるほどの貴重な魔導書や魔道具がある。それに手をつけていないとなるとやはり、狙いはシークレットコードが刻まれた義明の石。

アリ―と義明は床に散らばった魔導書や魔道具をかき分けながら、保管庫の奥に向かい、石がおいてある台座を目にする。

「よかった……石はあるね」

「……ええ……でも」

アリ―は手に取り確認し、理解した。

「……魔力が……なくなっているわ……」

アベルトが言っていた通り、シークレットコードが書かれ、強い力を保有していた石は、ただの赤みのある石となっていた。

 

 

魔力が失っていたのは、義明の石だけではなかった。

研究所すべての魔導書、魔術論文はただの本に、コードが組み込まれた魔道具はただのガラクタに代わり果てていた。

被害内容はコードの内容が消えている、もしくは不規則に空白がある状態に扠せられている状態であった。

「私の研究資料……当然やられちゃってるか……」

保管庫を見たあと、アリ―の研究室に行くと他の研究室のように無残にも荒らされ、そして同じ被害にあっていた。

「……アリ―所長」

アベルトが心配そうに声を駆ける。

「んー……さすがにショックでかいなぁ……。希望が見えてたのに……。はぁ」

ショックすぎて犯人に怒れる気にもなれない。いや、むしろここまで被害を出した犯人がすごすぎる。こんな芸当できる者など、最強にして最高の魔女の祖母アマンダ以外思いつかない。

「いや……いくらお祖母様も、一晩で一人でここまでできない……」

何と言っても研究所すべての魔導書を駄目にしたのだ。中にはプライベートで持ち込んでいた魔導書さえも、ご丁寧にやられているのだ。

本当に犯人はどうやったのだろうか。

どうやって研究所内の結界を壊したのか。

なぜ犯人は盗まずコードを台無しするような、そんなめちゃくちゃ手間gかかるような手を使ったのか。

犯人の目的は何なのか……。

犯人探しもいいが、これからどうすればいいのか。

「……ああ、もう……考えることがたくさんアリすぎる……」

手で額を覆う。

「所長……これでも飲んで落ち着いてください……」

「ありがとう……いただくわ……」

リフレッシュできるハーブティーを口に含み、香りと味で幾分、落ち着いてくる。

「そういえば、ヨシアキは?」

「ヨシアキ様、あちらに……」

研究室の外であぐらをかき、駄目になった魔導書をじっと見ている。

「……ヨシアキにも悪いことをしたわ……。フレンダ様からの贈り物を私は駄目にしてしまった……」

「そんな……所長のせいでは……悪いのは犯人ですよ」

「いいえ……私が無理を言ってシークレットコードの解析をしなければ、被害にはあわなかったわ」

「……それを言うなら、一番悪いの私ですよ……。私が舞い上がって……うぅ……なんて謝ればいいんですかぁ」

みるみる泣きそうになるアベルトを見て、優しく頭をポンポンと撫でる。

本当になんて謝ればいいのだろう。

事故とは言え、勝手にこちらの世界に呼び出したあげく、大事な祖母の贈り物を駄目にしてしまったのだ。

ハーブティーの水面に映る自分の顔をじっと見つめる。

ここまで落ち込んだ自分の顔をアリ―は見たことがなかった。

(ひどい顔ね……)

「アリ―」

不意に声がかかり、両肩がクイッと上がる。

呼びかけられた方を見ると、案の定義明が立っていた。手には魔導書が抱えられていた。

「ヨシアキ……その、ごめんなさい……私のせいで……」

「いえ! 私のせいです! ヨシアキ様! ほんとにごめんなさ……」

「ふたりともこれ見てくれ」

義明は魔導書を広げ、二人に見せる。

「これ、この……なんていうの?

文字の虫食いみたいな状態?

っていうのかな?」

「ええ、まぁそうね……」

「この状態さ……実はオレもここに来る前に同じようなことがあったんだよ」

「……義明の世界にもこれと同じ事件があったの!?」

義明は軽く頷く。

「ここまで大規模なことはおきてないけどね。

オレ、ここに来る前に自分のオリジナルプログラミングを作ってたんだよ。

そしたら突然、これと同じような現象が起こってさ。止めようと思ってもどうしようもなくて……そしたらパソコンが光出して……気づいたらこの世界に!

今回のこれ、もしかしたらオレがこの世界に来たことと何か関係があるんじゃないかな!」

「……あるかもしれない。

いえ、絶対はあるわ! 魔術コードとプログラミングは似ていること、そして今回の同じような事件。被害にあっているのは魔術コードとプログラミング。

何かあるわ! 絶対に何かある! もしかすると、こちらとあちらで何か共通する出来事が起こっているのかも!

ヨシアキ! あなたの世界で何か変なこと起こっていないかしら? なんでもいいわ!」

「え、っと……なんか……なんか……んー……。

あ! あ、いや関係ないか……」

「ヨシアキ、なんでもいいわ、話して」

「んー、なんか異常にバッタが大量発生してたんだよね……」

「バッタ?」

「あ、えっと。ぴょんぴょん跳ねる虫なんだけど……それが世界中で大量発生していてね。ちょっと世界中困ってた」

「んー……この世界で虫が発生したっていう話は聞かないわね……」

「あ、まってください。そういえば、学生が見たことない虫を見たって……やけにぴょんぴょん跳ねる、俊敏な虫だって……あ、あと学生の障壁魔法を破ったっていう……」

ぴょんぴょん跳ねる虫はバッタ以外ありえない。

「もしかして、バッタが何か関係している? でもたかがバッタで……ねぇ?

アリ―? どしたの?」

アリ―の目が何か思いたる節があるような、大きく見開いていた。

「ちょっとまって……虫……跳ねる虫で、障壁を破る……。

ヨシアキ……バッタって……」

アリーはペンをとり、魔導書の空白のページに絵を書き始める。

「こんな虫……じゃないわよね」

「あーそうそう! それそれ! なんだいるんじゃんバッタ。この世界だとなんていうの?」

義明の答えを聞き、アリ―は絶句し、顔がみるみるうちに青ざめていく。

アベルト同じ様子であった。

「え、な、なに? ど、どうしたの?」

尋常でない表情に、義明は動揺する。

聞いては行けないことを聞いてしまったのかと思い、義明は謝罪をしようとしたときだった。

アリーが絞り出すような声で口を開いた

「私達の世界で……そのバッタという虫は……。

この世界で……恐怖の災厄として……君臨し……世界を崩壊の危機に陥れた……最悪の化物……」

「え……それって……」

「十の災厄が一体……八の災厄<蝗>(アドバン)。あなたの祖母……フレンダ様が打ち倒した、そしてあなたの世界に行くことなった……災厄の化物よ」

 


 

 


 

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