SS 運、運、運!

「はぁ~」
 パソコンの画面に表示されている6個の数字をみて、私は深い溜息をはいた。今回で何度目になるかわからないため息。だが、確実にため息の大きさと長さが伸びていることは明確だ。
 毎週月曜日と木曜日は、宝くじ『ロト6』の結果発表の日。
 2億を夢見て胸を高鳴らす日でもあり、一番低い賞もとれないがっかりする日でもあるのだ。
 最近では、胸の高鳴りがなくなりつつあり、がっかりする日だけになりつつある。

 私はもうサラリーマンなんてやりたくない。働かないで暮らしたい。
 一昔前の「働いたら負けかな」というセリフをスカイツリーのアンテナ部分にたって、大声で叫びながらダイブしたい。
 無限の彼方へ、さー……やめよう。
 私は働かないためにどうするか、真剣に考えた。
 真剣に考えた結果、金がいることがわかった。それも莫大な。
 だが、金というのは働かなければ金を得ることができない。
 働かない者、喰うべからず。ああ、なんという憎い言葉。これは昔の皇帝陛下が奴隷たちに向けた言葉に違いない。ボロ雑巾のように使い古されて捨てられるんだ。実にやってられん。
 今すぐスーツを脱ぎ捨てて、100トンのおもりを付けて深海に沈めたい。そしてニートに私はなる。
 無理だ。金がない状態で仕事をやめてニート生活をする勇気も度胸もない。
 ああ、なんというヘタレ。先人たちはいかにしてあの道を突き進めたのか、ぜひとも話を聞きたいものだ。きっと原稿用紙3枚程度では語れないほどの、壮絶な戦いがあるに違いない。
「2億円あれば……」
 できるなら10億ほしい。でも私はそんな高望みはしない。2億アレば十分だ。2億あったら会社を速攻やめる。そんで家の中に閉じこもって優雅に過ごすんだ。数百万だせば、完璧な空間を作り上げることができる。計算したから間違いない。
 あとは節約のため、外にはでない。外にでるといろいろな誘惑が私に襲いかかり、またたく間に私の財布から福沢諭吉大先生を誘拐していく。一体何人の先生が私の元を離れていったかことか。今、私の財布の中には先生はいない。
 先生……今頃どうしているのでしょうか。
 ああ、私にもっと運があれば、あなたを出迎えられるのに。
 運があれば、ロト6を100回連続で当てることができ、高級店の前を通った1億人目の通行者として全品タダになったり、かの有名な女性歌手の引退ライブのチケットも手にいれることもできるはずだ。
 ああ、自分の運のなさがうらめしい。
「おれに……オレに運がアレば!」
 後日……。
 運がない。
 そんなことを思っていると本当に運がないことが起こってしまう。
 今回は過去最高、いや過去最悪だ。
 今なららっきょを食べてツイてツイてツキまくるの主人公になれる気がする。思うのだが、あの主人公はとても不幸だが、主人公になれている時点で幸運だと思う。
 どうでもいいか。
 寝坊はする。
 電車は遅れる(しかも座れない)。
 電車内で腹を壊す。
 途中で降りる。
 駅のトイレ故障中。
 別の駅のトイレ行くも、めっちゃ並ぶ。
 会社に超遅れて到着。
 クライアント待たす。
 上司に怒られる……。
 もう考えるのやめよう。もう今日は終わったんだ。
 私は施錠機にICカードを差し込み、会社の戸締まりをする。機械のアナウンスが社内に響くのは、いつ聞いてもいい心地しない。なぜなら誰もいない会社は怖いからだ。
 ICカードをケースにしまうとき、ひらりと紙が落ちる。
 休憩中に買ったロト6だ。
 私は懲りずに、またロト6を買ってしまう。この運の悪い日に買うとは、我ながら欲深いと思う。
 そうまでして金がほしいか! ほしいに決まっている!
 ついでだ、私はスマフォでロト6の当選番号を確認する。運が悪いんだ、どうせ当たりっこないが、気分が落ちるとわかっているものを、わざわざ家で確認する必要もない。
「あ。1000円当たった」
 なんだかいいことが起こりそうである。
終わり



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