「よいしょ。
……ふぅ。こんなものかな」
取ってきた枝をすでに山積みになっている枝の上におく。
「夢にまでみたキャンプファイヤー……とまでは行かない無いが、初めてにしては上出来だな」
さっそく火をつけよう。
モロモロは心を踊らせ、葉っぱで作ったテントの中にしまったマッチを取りに行く。
二回目の旅。
一回目の旅の帰りにねっていた旅だ。
今回は遠出をしてみた。
遠出の旅と言ったらキャンプ。
キャンプと言ったらテント。
テントと言ったら焚き火。焚き火を征するものは遠出を征する。
旅のバイブルと呼べる本『旅かえるの心得』百九箇条のうちの一つに書いてあったから間違いない。
『旅かえるの心得』は、野宿する場所、テントの貼り方、枝の集め方に組み方、火の付け方など記載されており、モロモロは旅に出る前にかならず熟読して、旅にでている。だから、ここまですべて完璧。あとは火をつけるだけ。
「ん……ん……ん……。
……あれ?」
おかしい、つかない。
何度も何度もマッチをこすっても火がつかない。
研修のときは一度も失敗したことがない。火付けの講義では常にトップの成績を収めていたのだ。
ここにきて火がつけられないなど、笑えない。
焚き火こそ、遠出の醍醐味なのだ。
「ふんっ! あっ」
力を込めすぎて、折れてしまった。
マッチを折るなんて一度もないのに。
「んー」
どうしたものか。このあと何度も挑戦したが、どれも火をつけることができず、全て折ってしまっている。
「まいった……まさかこんなことになるとは……。
ご主人が用意してくれたライターを借りるんだった……」
ライターなんて邪道といって、ご主人のせっかくのご厚意を蹴ってしまった。あのときの自分を思いっきり殴ってやりたい。
「こうなったら、原始的に枝をこすって火をつけるか……」
いや、そんなやったこともないことを、いきなり本番で出来るわけがない。
「んーどうしたものか……」
モロモロは腕を組、空を仰ぐ。
視線の先には、大きな木が空に向かって伸びていた。
「高いなぁ」
きっと登ったらいい景色を拝めることだろう。
……と、そう思ったとき、モロモロは『旅かえるの心得』の百九箇条の一つを思い出した。
第八十二条。
ピンチのときは高いところにいけ。
モロモロは、すぐにその木に登った。
後編につづく
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